作品
奉仕 ※別パターン。奉仕を閲覧後に。(年齢制限有)
その1:黒玄前提銀玄=玄冬は鷹の調教済w
それはあくる日。
まだお互いにぎこちなさは抱えながらも、玄冬と何回目かの営みを交わした時のことだった。
ふいに玄冬が体勢を変え、俺のモノに舌先で触れてきたのを慌てて止める。
「……ちょ……待て! 玄冬!
お前そんなとこに顔を寄せて、一体何をっ……」
「何って……口でしようとしているだけだが?」
「く………………」
さらりと天気の話でもするかのような口調で返され、思わず絶句する。
何でそんな行為でさも当然のような発言を、と思うが考えてみたら理由は明確だ。
数え切れないほど抱き合った、と玄冬が言った相手。
こいつの養い親たる、黒の鳥。
されてきたのか。
そして、してきたのか。
口淫を事も無げに!
……黒の鳥め…………っ!
――寧ろ、色々とテクを教え込んだことに感謝してくれたまえ。
ん? 何だ、今のは。
まさかな、そんな思念は聞こえない。
気のせいだ。幻聴に過ぎない。
俺は何も聞こえない!
その2:どうやら背後霊状態の模様
「……っ……銀朱」
耳朶を軽く噛むと、玄冬が艶めいた声を上げた。
意外に玄冬は耳が弱いのだということは最近知った。
震えた声は俺の方の興奮も煽る。
身体を繋げた部分を揺らすと、玄冬はより強くしがみついてきた。
「……う……あ」
それは、こっちとしてもかなり嬉しい。
求められている、と強く感じられるからだ。
……なんだが。
玄冬に求められれば、求められる程。
「もっと強……ああっ!」
請われるままに、強く突いて。
こいつが行為に夢中になっていく都度に。
ざわり、と背中を冷たいものが通り抜けていく。
快感の熱とは違う何かが。
何かに監視されているような気分になる。
いや、まさかな。
時折、部屋に出所不明の黒い羽が落ちていたり、殺意のこもった視線を感じるのは気のせいだ。
そうだ、そうに決まっている!
その3:CPは一応銀玄なんですが。……えーと、すみません。
そうやって、日々感じた違和感はあくまで気のせいだと、思い込もうとしていたというのに。
「大事な息子がちゃんと感じているかを確認するのは当然だろう?」
夢と片付けてしまうのには、あまりにリアルに。
人を馬鹿にしたような表情をした黒の鳥が出て来た。
一体、何がどう当然なのか。
発言に突っ込むのも腹立たしい。
「余計な世話だ……!」
「そんな偉そうな口を叩くのは、もっとあの子を感じさせてからにしたまえ。
正上位ばっかりじゃ飽きるよ?
男たるもの、もう少しバリエーションというものをだね」
「五月蝿い! どこから見ていたんだ、貴様!」
「それは知らない方が身のためだろう。
気にして不能にでもなった日には可哀想だからね。
勿論、君はどうでもいいけど、あの子が」
殺意、というのをこの時ほど抱いたことはない。
惜しむらくは、相手は既にこの世の住人ではないというところだ。
ほんっ……とうに玄冬しか見えていないのが良くわかる。
「まぁ、玄冬が欲求不満になってしまうのも、親としては忍びないから……」
「な……人聞きの悪い! 欲求不満になぞさせていない!」
……はずだ、多分。
ぎこちなさはまだ残るが、満たされているし、満たしている……と思う。
「どうだかねぇ。というわけで、ここは一つ。
私が君の身体に乗り移って、あの子を感じさせる手本を見せてあげ……」
「帰れー! しかも、さり気なく服を脱ぎ始めるな!」
「ふふふ、お父さんは上手だよ、テクニシャンだよー?」
「知るか!」
「なら、せめてあの子の弱点を教え……」
「自分で探す!」
「おっと」
剣を振るった瞬間、奴が鳥に変化して逃げていったところで、目が覚めた。
起きたばかりなのに、変な疲労感が漂うのは気のせいではない。
……くそ、いらん世話にも程がある!
その4:でも、ちょっと気にしたらしい
「……は…………」
身体を繋げながら、玄冬の背に唇を落とす。
背骨に沿わせると、より震えた。
――珍しいな、後ろからなんて。
黒の鳥に言われたことを気にしているわけではない。
気になど決してしていないが、今日は後ろから攻めて見た。
顔を直接見られないのは、少し残念な気がするが、恐らく俺も複雑な感情が出てしまっているだろうから、これでいいのだろう。
「っ……あ!」
ぐら、と崩れかけた膝。
シーツを掴んだ玄冬の手に、自分の手も重ね、そのまま律動を強くする。
「銀……ああっ!」
「……っ」
……恐らく達したのはほぼ同時。
互いの指に力の入ったあの瞬間。
力が抜けて、そのままうつ伏せになった玄冬の肩に俺ももたれかかりながら、そっと口付けた。
***
「銀朱……」
「ん?」
水を飲んでから眠りにつこうと、コップに水を注いだところで玄冬に呼びかけられる。
先に眠りについていたと思っていたが、起きたか?
「玄冬?」
「銀……朱……」
だが、俺の問いかけには応じず、ただ名前だけが口の端からこぼれ落ちる。
……寝言、か。
水を飲んで、玄冬の枕元を覗きこむ。
注意深く様子を探ったが、やはり眠ったままだ。
起こさないように、そっと玄冬の髪を撫でるとほんの少しだけ玄冬の表情が柔らかいものになって。
声にはならなかったが、もう一度唇が俺の名前を呼ぶように動いた。
「……まぁ、いいか」
黒の鳥の影がこいつの中から完全に消えることは恐らくない。
だが、夢うつつに俺の名を呼んでくれる程度には、求めてくれている。
少なくとも、今はそれで十分だ。
「俺は負けんからな」
もしかしたら、どこぞで歯噛みしているかも知れない黒の鳥に聞かせるように呟き、俺も玄冬の横に滑りこんで目を閉じた。
2013/09/06 up
日付は最近ですが、元ネタ自体はアンソロジー『銀玄祭』で描いた4コママンガ4作。
奉仕のギャグコメディ方向に行ったのを小説化したものです。
古いマンガは古い小説よりUPするのが忍びなかったし、久々に奉仕を読み直したら別パターンを文章化したかったので、やりました。
書いておいて何ですが、隊長の扱いが不憫ですね。
- 2008/02/01 (金) 00:20
- 番外編
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