作品
Je vous veux
「Trick or Treat!!」
「……それは子どもの方がいう台詞だろう」
帰ってくるや否や、 威勢良く言ってきた黒鷹にそう返すと苦笑が零れた。
「まぁ、固い事は言いっこなしだよ。
それに今日は何もお土産を買ってきてないからねぇ。
私が君にそう言われた所でお菓子をあげることは出来ないし」
「……ほう、Happy Halloweenと返せない。
ということは、悪さをされても文句はないな?」
シュル……と黒鷹の胸元にあるリボンタイの裾を引っ張り、結び目を解く。
黄金の瞳が一瞬だけ意外そうな色を映した後、愉快そうに笑った。
「……おや。これはお菓子の代わりに私が食べられてしまうということかな」
「ああ」
覗いた白い首筋に唇を寄せて、軽く肌を吸う。
黒鷹が呼吸を飲みこんだ音に満足して、小さく笑った。
「お菓子よりもお前の方が食い応えがあるから、これでいい。
言っておくが、代わりにしているわけじゃないぞ」
「わかっているさ、そんなこと。……お手柔らかに頼むよ。
今日は朝早くから出かけていたから、少し疲れているんだ」
「安心しろ。お前は何も動かなくていい。俺が動くから。
……ま、悪さをするのは子どもの方だからな、丁度いいだろう?」
「違いないね」
唇を重ねながら、早くも欲情の波が押し寄せてきているのを感じる。
おそらくは黒鷹もだろう。
服越しに感じる体温は早くも高くなっている。
触れ合う肌の熱さを想像し、黒鷹をどう攻めようか考えながら、シャツの釦を外した。
もう何年も前から、ハロウィンの夜に望むのはお菓子ではなく、お前自身なんだと。
気付いてないとは言わせない。
なぁ、黒鷹?
2006/10/20 up
何故かオンリー直前の余裕の無い時に書いていたハロウィン話。
玄冬視点。
書いているカップリングは黒玄メインですが、根は黒親子二人がいちゃついていればどっちでもな人なんで、
(基本的にリバ好きなのです、すみません)
黒玄といいつつ、玄黒っぽい話とか、どっちつかずな話もサイトにはちらほら混じっていたりするんですが、たまにはきっぱり玄黒にしてみるかーと書いた話。
でもやっぱり、普段とあんまり変わらなかったw
- 2010/01/01 (金) 00:00
- 玄黒