作品
灰文小ネタ
「君か。王立学院を主席卒業して陛下付の文官になったっていうのは」
「あ、はい。……ええと、灰名様、でしたよね」
「へぇ、私を知っていてくれるんだ」
「失礼ながら、存じ上げない方はこの国にはいらっしゃらないかと」
「そんなものかなぁ。君こそ渦中の人だけどね。
貴族でない者が陛下付になるなんて、久しくなかったことだから」
「らしいですね。私も驚いていますが」
「気をつけるといい。ここは頭の固い連中が多いからね。
何しろ元来軍人に向いていないような人間を、
救世主の子孫だからというだけで、宮仕えさせてしまったり、
必要以上に遠巻きにしてしまうような、ね」
「ああ、なるほど。大変ですねぇ」
「……意外だな」
「はい?」
「思ったより肝が据わっている。案外食えない男だね、君」
「そんなことはありませんよ。
別に出世したいわけじゃないので、興味が薄いだけです。
私は仕事を楽しくやらせてもらえれば、それで十分ですから」
「……なるほど。君相手なら楽しくやれそうだ。
人の顔色伺うだけの鬱陶しい輩でなくてよかったよ」
「言いますねぇ」
「言う場所も相手も弁えてるつもりだよ。これでも」
2006/01/15 up
旧日記ブログでちらっと書いていた分。
会話のみの小ネタ。
出来れば、ちゃんと小説化したいので、とりあえずこっちに持って来ました。
- 2008/08/01 (金) 00:00
- 小ネタ(小説未満)