作品
救白というか救梟というか
「おどきなさい」
「嫌」
「……本気で怒りますよ」
「……怒ってどうするって?」
「…………っ!」
隙をついて、腕を纏めあげ動けないようにする。
……細い腕。本気で力入れたら折れそうなくらい。
いつだっただっけ。この人の背を追い越したのは。
腕に抱かれていた頃を思い出せる。
今はこの人には俺を抱き上げることはできない。
でも俺には出来る。そんな力の差がついたのはいつだった?
白い首筋に顔を埋めて、唇をそわせると明らかに気配が緊張したものに変わった。
「やめなさ……っ!」
初めて動揺が表れた声。
可愛い、とか言ったら怒られるかな。
「お願い。……抵抗しないで」
つ……と舌で肌を辿るとびくりと震えが伝わる。
飲み込まれた呼吸には苦笑するしかない。
そんなに怯えなくてもいいと思うけど。
「……傷つけたくないから」
酷いことをしたいわけじゃない。
ただ貴方が欲しい。どうか、拒まないで。
日差しの色をした柔らかい髪を掻きあげ、
形の綺麗な耳からそのままピアスに触れて外す。
隈なく、全ての場所に触れる為に。
ねぇ、その翡翠の瞳は
どんな風に潤んでくれるのかな、白梟。
ピアスのなくなった耳朶を甘噛みしながら、想像した。
俺の腕の下で白い肢体が乱れる様を。
2006/03/09 up ※当時の日記から
機会あれば、小説に仕上げたいので持ってきてみました。
- 2008/08/01 (金) 00:04
- 小ネタ(小説未満)