作品
眼鏡
「玄冬、玄冬!
今日のお土産はこれだよ、さぁかけてみてくれたまえ、今すぐ!」
ある日、黒鷹が外出から帰って早々にそういって差し出してきたのは、
一つの眼鏡。
細いフレームのそれはツルの部分の細工が綺麗だったが、特に目が悪いわけでもない俺にわざわざ買ってきたのが疑問といえば、疑問だった。
「……なぁ、黒鷹。別に俺は目が悪いわけじゃないんだが」
「知ってるとも。ただ私が見てみたいだけだ。
気にしないでくれ。ささ、かけてみたまえよ」
「まぁ……いいが」
促されるままにかけてみると、黒鷹が腕を組んで何か考え込む。
「うーん、やっぱりこっちの方が似合うかな。玄冬、次はこれを……」
「……? 構わないが」
次に取り出してきたのは、フレームのないレンズが細めのもの。
そっちを改めてかけたが、それでも黒鷹は何か納得していない様子だ。
「何か違うね……よし、じゃ次はこれ。
ああ、いやこっちの方がいいかな?」
足元の袋をがさごそと探る様子に嫌な予感が否応なしに感覚を直撃する。
「ちょっと待て。お前幾つ眼鏡買ってきた?」
「え、あー……その、ざっと百五十くらい……かな。
あはははは、いや、君に似合いそうだなとか思ったら、ついつい手が伸びてだね」
「……の馬鹿!! 今すぐ返して来い! 無駄な買い物をするな!!」
***
フェチズムに暴走するのはほどほどにしましょう、というお話(笑)
2005/07/29 up
昔、ここで配布していた「玄冬好きさんへの10のお題」からNo2。
かつて、アリスソフトメインで活動していた時期にメガネっ漢同盟なんてものを作ってたくらいには眼鏡男子が好きです。
- 2013/09/09 (月) 19:18
- 黒玄