作品
あぁ…壊れちゃった(黒玄前提救こく)
「動けよ。聞こえない?」
「…………っ」
唇に乗った音はもう言葉になってない。
涙の跡はもうとっくに乾いている。
虚ろな目は何を見ているのかもわからない。
血と精の臭いで充満した部屋に転がっている白の鳥と黒の鳥。
身体の下で赤と白に塗れた小さな終焉の子ども。
まともに動いてるのは俺一人。
――あれが玄冬です。あれを殺せば世界は続く。皆が助かるのです。
――へぇ、じゃあ貴方たちを殺しても?
――……え?
全て。全てが気に入らなかった。
数え切れないほど殺した玄冬の上に成り立つ世界。
そんなところにどれほどの価値があるんだろう。
「だから、全部壊しちゃったんだけど。
……ねぇ、お前も壊れちゃった?」
「ぅ…………」
身体を揺らしても、ろくに返らない反応。
最初は育ての親を泣き叫びながら呼んでいたのに。
きつい中を擦りあげて、一方的に果て。
気がついたときには玄冬の呼吸が止まっていた。
「あーぁ。壊れちゃった」
これで全部。何一つ残ってない。
いずれ世界を埋め尽くす白い美しいもの以外は何も。
ね、貴方たちが骨になるのと、みんなで雪に埋まるのとどっちが早いと思う?
2006/01/01 up
花々(閉鎖) が配布されていた「気狂い10題」から、No1。
救世主視点。2006年の最初の話、だったらしい。
いきなり鬼畜路線か、自分。
- 2013/09/09 (月) 19:24
- 黒玄前提他カプ
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