作品
輸血・献血
※多分、先が書けないままに終わりそうな吸血鬼パラレルネタです。
それでもOKという方だけどうぞ。
***
「少し血をくれないか」
「……顔色が悪いな、大丈夫か?」
「ああ」
「お前、吸うときに加減したりするからもたないんだ。
どうせ回復するんだから、遠慮するなと言ってるのに」
「だって回復するといっても、君だってあまり大量に吸った直後は調子悪そうにしてるじゃないか」
「お前がしんどそうにしているところを見るよりずっといい」
首筋に伸ばされた指に目を閉じる。
俺を拾って育ててくれた養い親は世に言う『吸血鬼』だ。
生命を維持する栄養は人の血液。
知ったのは15の時。
――あまり身体が育ってないうちに吸うのは気が進まなかったからね。
成長を妨げてしまう恐れがあったから。
いくら君が特異体質で傷や病気の回復が早いと言っても。
ちくり、と首筋に走る慣れた痛みと微かな恍惚感。
手探りで黒鷹の服を掴むと、黒鷹がその手を外して指を絡めてきた。
触れている部分が一体化したかのような錯覚。
それはセックスで上り詰めているときの感覚にも似ている。
終わったあと、少しの間ぐったりと動けなくなるのも一緒だ。
やがて、首から離れたぬくもりに目をあけると、心配そうな表情の黄金の目が俺を覗き込んでいた。
「ありがとう。大丈夫かい?」
「ああ。いつものことなんだから、気遣わなくていいといってるのに」
――今まではどうしてたんだ。
――適度に不足したときに何人からかいただいていたよ。少しずつね。
――……じゃあ、今度からは俺一人にしろ。
俺なら回復が早いし、それに……。
「構わない、と言っただろう? 俺だって満足しているんだから」
俺の血しか吸わない。
それは黒鷹の中に流れる血は俺のものだけであるということ。
そのことがどれだけ気分を高揚させるか。
お前は想像できているんだろうか?
2005/10/09 up
一日一黒玄でやっていたものから。
花帰葬+Pで10のお題配布所(閉鎖)が配布されていた花帰葬+Pで10のお題よりNo4。
多分、吸血鬼パラレル話はこれきりになる予感w
- 2013/09/13 (金) 23:30
- 黒玄