作品
低い熱
不意に夜中に目が覚めた。
闇に目が慣れた頃、隣に視線を向けたら、黒鷹は当然ぐっすりと眠りに落ちている。
そっと腕に触れると伝わる熱は低かった。
本当に眠っている。
一方的に相手の無防備な状態を見るのは、何となく気分がいい。
肩口、耳、頬とゆっくり唇を落としてみる。
そういった行動で反応があるのは勿論楽しみだが、これはこれで、黒鷹の知らない間に何かを刻み付けていられるようで心地良いものだ。
性的な意図というよりは、子どもの悪戯。
そんな感覚に近かった。
そのはずだったんだ。
黒鷹の手が腰に回されるまでは。
「……っ!」
「さっきの行為では物足りなかったかい?」
起き抜けの割にはしっかりした口調。
ようやく、黒鷹の体温が上がっていることに気付いた。
いつ起きたんだろう。
馴染んだ温度の所為か、気付かなかったといえば、それまでだがうかつだった。
「そういう、わけじゃ」
「ふふ、でもこっちは反応しかけているね?」
「く……」
中心に触れた黒鷹の手が少しぬるいような温度に感じるのは、自分が熱くなってるからでなく、黒鷹の体温が上がりきってないからだと信じたかった。
「なんにせよ……起こした責任くらいは取って貰うよ」
「う」
悪戯には覚悟が必要だ、ということか。
2005/08/17 up
一日一黒玄から。
Kfir(閉鎖) が配布されていた「甘いキスの10題」、No3。
手をだして、気付いた鷹が黙ってるわけなんかないw
- 2013/09/18 (水) 01:11
- 黒玄