作品
黒の輪廻
幾度繰り返しても、別れは嫌なものだ。
終りであり、始まりであるとは言うけれど、長い時間、また君の声が聞けず、笑う顔を見れず、温かい体温を感じられないというのはやはり辛い。
「……なのに、人の気も知らずに君はいつも微笑っているのだからね」
――だって、またお前に逢えるだろう?
今回の玄冬には過去の記憶があった。
長く輪廻を繰り返していると、時折そんなイレギュラーなこともある。
――すまないと思ってはいる。……だけど。
昨夜、抱いたときについ意地悪い気分で聞いてみたのだ。
いつも君は逝く時に微笑んでいるのだよ、と。
――何度でもお前に逢いたい。
一瞬、連れて世界から出ようかと思った。
だけど、あの何もない世界にこの子を連れて行くのも躊躇った。
そうして、結局また死なせた。
もう、これ以外に私は選べないのだと、君の微笑みに思い知らされた。
「おやすみ、玄冬」
だから、せめて今はゆっくりお休み。
私の愛し子よ。
また逢えると思えばこその長い別れを耐えられるのだから。
2005/03/25 up
一日一黒玄で元は英語のお題だった、
『A Long Goodbye.』
タイトル変更はこのお題は5の倍数でやるのがルールだったのですが、えいご3の人間にはしんどかったのでタイトル変更で回避策という、なんとも情けない理由です。
※当時、君の手で開放を以外はサイトに通常UP予定なかったので。
- 2013/09/21 (土) 00:29
- 黒玄