作品
クスリ
「何の…………つもり……だ」
「想像くらいついているだろう? 短い付き合いじゃないのだから」
「……っ」
何を飲ませたのやら、身体の自由がきかなくなったと思ったら、身体の中心だけは変に熱を持っているのが伝わる。
焦れる感覚を逃せなくてきつい。
媚薬の類か何かだろう、とは思う。
本当に愉しみたいときなら、黒鷹は俺に必ず一言断ってから使う。
互いに感覚を高めて、程よい刺激を与え合う。
そういうのは嫌いじゃない。
だが、一方的に使うのは。
黒鷹が内心で何かに腹を立てているときだ。
言葉で言わないくせに、歪みはこんな形で現れる。
引き出された欲情。
愛撫もそこそこに繋げられた身体。
それでも黒鷹を覚えている身では、痛みよりも快感が勝る。
逆らえない摂理に沿って、開放させたその瞬間、確かに耳が黒鷹の声を拾った。
「…………こんなことがしたいんじゃない、のに」
苦しそうで辛そうな呟き。
……感情は時に自分でもどうしようもない。
きっと俺が言葉にされても黒鷹に応えられないこともあるように。
だから、力の入らぬ脚を黒鷹の腰に絡めた。
わかっている、責めたりしないと言う代わりに。
2005/09/? up
元は一日一黒玄で書いたもの。
China Love(閉鎖?)で配布されていた、
「微エロ妄想さんに25のお題」、No16より。
- 2013/10/07 (月) 22:07
- 黒玄