作品
生の意味
「ねぇ、あの子さえいなければって思ったことないの」
「……こんな時に唐突になんだい」
見上げた顔が歪んでるのは、悦楽のせいか、苦痛のせいか。
できれば前者だと思いたい。
シャツを着たままの上半身には、服の生地が汗ではりつき、解け掛けたリボンタイも妙に淫らな雰囲気を醸し出している。
……色っぽいな、この人は。
ぐちゃぐちゃになるまで犯したい。
「玄冬がいなければ、黒鷹サンは何度もあの子が死ぬところを見たり、こうして玄冬を盾に俺にヤラれることもなかったでしょ?」
「……っ」
下から突き上げて、繋がりを深くすると黄金の目が揺れる。
幾度犯しても、精彩を欠くことのない金の炎を孕んだ綺麗な瞳。
「ねぇ、いなければって思わないの」
「……あの子の……っ……いない世界に意味は……ない」
視線が俺に合わせられる。
でもその目は俺を見ていない。
この人の秘められた熱の行き場を知っているからつまらない。
「私の生きる意味は……あの子にあるのだから、ね」
「……つまんない」
こんなに身体を寄せているのに。
熱が繋がるところから伝わるのに。
俺は一生、この場にいない終焉の子どもにかなわない。
どれ程犯しても、この人の情熱を俺は手に入れられない。
死ぬまでにたった一瞬でもその情熱が欲しいと言ったら。
それを手にすることが玄冬を殺した後の俺の生きる意味だと言ったなら。
嘲笑されるかな。
ねぇ、黒鷹サン。
2005/05/13 up
花々(閉鎖) が配布されていた「あっけない死10題」から、No3。
例により一方通行。
描写がさほどでもないので、表でもいいかと思ったけど、犯す犯す言ってるのでこっち側に。
- 2013/09/09 (月) 18:59
- 黒玄前提他カプ
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