作品
囁きの中で~Ver.Y
「っ……ん……!」
「は……っ!」
後ろから抱き込まれ、ひたすら絶え間なく突かれる。
荒い呼吸にのせる睦言もなく、いつもなら優しく触れる指や唇はただ荒々しく身体を辿る。
まるで獣のように夢中に。
何かから逃れるかのように、忘れるかのように。
時々、こんなときがある。
明け方に不意に起こされて、行為を求められて。
そんなときは大抵、強引にコトを進められる。
理不尽なやり方に幾度か抵抗したし、文句も言った。
だけど、いつも返されるのは短い謝罪の言葉と、笑っていない深い闇を潜めた眼差し。
長い付き合いだ。
こんなときの黒鷹がまともな状態じゃないことくらいわかる。
だから、時折繰り返されるそれにいつしか何も言わず、従うだけにした。
「……くあ……っ…………」
数え切れないほどに抱き合ってきた。
黒鷹を受け止めることは身体が覚えている。
例え、潤滑剤の類を使わなくても、きついと思うのは最初だけで、すぐに繋がった場所は黒鷹に溶けていく様に馴染む。
きっと、それは優しく触れていても、激しく触れていても黒鷹が黒鷹だからだ。
他の誰でもない、たった一人の俺の黒の鳥。
それだからこそ。黙っている。
問われるのを望んでいないのがわかるから。
熱を秘めた囁きには、熱を秘めた言葉だけを返し、求められた唇にもただ応え、互いに情を吐き出して、溶かしあう。
中に広がる熱にお前の顔がようやく和らぐことにほっとする。
こうすることで不安が少しでも消えるなら、それでいい。
だけど。
……いつかは言ってくれるだろうか?
打ち明けてくれるだろうか?
そんな風にお前を駆り立ててしまう、その理由を。
離れていく体温を感じながら、そう願わずにはいられない。
2004/12/23 up
別HNで立ち上げていた超短文黒玄サイト閉鎖後に、裏サイトでこそりと元来の文章にして書いたもの。
というわけで、別HNで書いていたのはこちら。
向こうはJunkだから、こっちも……と思ったけどエロ度アップしてるし、数の少ないUnderにw
- 2013/09/11 (水) 08:00
- 黒玄