作品
指先だけで
「……っつ! あ……」
家事なんて、碌に出来るものも少ない。
どちらかというと、手先は不器用なくせに、こんなときだけは、呆れるほどに器用に動く、黒鷹の指先。
同じ指なのに、自分で触れるのともわけが違う。
何故だかわからないけど、触れられている、と思うだけで興奮が高まる。
まだ、唇も舌も使っていないのに、もうかなり追い詰められているのが、
触れられてる場所から零れる水音で嫌というほどに自覚させられる。
縋るように黒鷹の肩にしがみつくと、低い艶めいた呟きが耳に落とされる。
「……いいよ? そのまま一度達してしまうといい」
「っ……!」
促す言葉と同時に強く、でも優しくほどよい加減で握られて。
……あっけなく黒鷹の手に包まれたままで出した。
指に絡みついた精液を舐め取る様子はとても直視なんてできやしない。
「……気持ちよかったかい?」
「……でなきゃ、こんな風になるか……っ」
羞恥もあって、半ば投げやりに呟いた言葉は穏やかな笑みに受け止められる。
「嬉しいよ」
肩を抱き寄せられて、背を撫でられて。
「君が私の指だけでも感じてくれるのがね」
感じない、わけがない。
全部知られてるのだから。俺のことは全て。
2005/01/01 up
元は一日一黒玄で書いていたもの。
恋愛に関するいくつかのお題が配布されている、「アダルトなお題」からNo5。
ちなみにこれが一日一黒玄最初の話でしたw
初っ端から、かつ新年早々エロだったんだなぁ。
- 2013/09/27 (金) 18:38
- 黒玄