作品
White~子どもたちのクリスマス
「ねぇ、たー。まだ起きてるの?」
「そういうくろだって」
ちびたかとちびくろが二人並んでベッドに入ってから、もう一刻は経つ。
が、子どもたちはまだまだ眠る気配さえない。
神経が高ぶって眠れずにいるらしい。
「来るかなぁ。サンタさん」
「来るよ! ……来ると、思う」
ちびたかの声の末尾がほんの少し小さくなる。
『サンタさんは良い子にしている子どものところに来るんだよ』と、養い親の一人が言ったことを思い出したらしい。
「たーは大丈夫だよ。良い子だもん」
ちびくろが手を出して、ちびたかの頭を軽く撫でる。
「良い子なのは、くろだよ。俺はくろとに怒られてばっかりだもん」
「でも、今日は野菜もちゃんと食べていたじゃない」
「ん……そう、だけど」
それでもまだ心配らしい。
そんなちびたかの様子をみて、ちびくろが何かを思いついた。
「ねぇ……ずっと起きてようか」
「ずっと起きてたら、サンタさんは来ないって言っていたぞ」
「だから、寝たふり! ね? サンタさんがどんななのか見てみようよ」
「見れる……かな? 逃げないかな?」
「大丈夫だよ! で明日、くろたかとくろとに教えてあげようよ!
サンタさんが見られたんだーって。きっと二人ともびっくりするよ!」
「うん!」
「頑張って起きてようね!」
ちび二人は笑顔を交わし、目を閉じた。
……そして、それから一刻の後。
「くー……」
「すやー……」
ちび二人が目を閉じたままの状態で、起きていられるわけもなく。
見事に睡魔に眠りの淵に落とされていた。
静まった気配を悟ってか、ややあって部屋の扉を開いて玄冬がこそりと様子を伺う。
中の様子を確認して、手招きをすると、黒鷹も玄冬に続いてそっと部屋に入った。
手にしていた二つの包みをちび二人の枕元に置くと、軽く目配せしあい、二人でちびたちの額に微かに触れる程度の、だけど慈しみのこもったキスを交互に落とした。優しい顔で。
「やれやれ。好奇心旺盛だね。うちのちびたちは」
「そうだな。でも……それだけ楽しみにしてくれていたんだな」
「君もやりたかったかい?」
玄冬に対してはそういうことをしなかった黒鷹の問いかけには、ただ笑って首を振った。
「いや……いい。十分お前は楽しませてくれていたしな」
「そういってもらえると嬉しいね。さて、サンタの役目も終わったことだし、私としては、大人のクリスマスを楽しみたいんだが、どうだい?」
耳元に落とされる囁きとキスに微かに玄冬の表情が優しくなる。
「明日、ちびたちより遅く起きるはめにならない程度になら」
「……善処しよう、一応はね」
2005/02/16 up
↑多分、簡単に絵日記等で書いてたものを改めて上げた日付だと思われます。
あまり季節ネタは外して書いてなかったはずなので。
- 2008/01/01 (火) 00:11
- 年齢制限無