作品
ペアグッズ
「うん? ちび、どうしたね?」
「んー、くろととくろたかのそれ、お揃いなんだな」
「ああ、これか」
ちびたかの視線の先にあるのは、私の左腕につけている腕章。
「なぁ、それ俺も欲しい!」
「あはははは、それはダメだ。
これは私と玄冬だけのお揃いの品だからね」
「えー、ずるい!」
「まぁまぁ。
君とちびくろにも、そのうち何かお揃いになるようなものを誂えてあげよう」
「んー、それならいいけど」
ちびたかがそれでもまだ少し不満そうにしながら、私にもたれかかってくる。
膝の上を指し示すと素直に膝に乗っかってきた。
珍しいな。甘えたい気分らしい。
腕を回し、抱きかかえて頭を撫でても、されるがままだ。
「……でも、俺は4人全員のお揃いっていうのも欲しいな」
「全員?」
「だって、それなら家族だってわかるだろう?」
ああ、また村の子にでも何か言われたのかな。
「そうだね。
でも、そういうのがなくたって、家族だって言うのは君が一番良くわかってるだろう?」
目に見えるものだけが絆ではないし、血の繋がりだけが絆なわけでもない。
私は玄冬と二人で、君とちびくろを大事に大事に育ててきているつもりだよ。
ねぇ、そうだろう?
2005/04/29 up
元は一日一黒玄でやっていたものから。
創作者さんに50未満のお題で配布されている「甘々10のお題」からNo1。
- 2013/09/14 (土) 11:22
- 年齢制限無