作品
コミュニケーション過剰
「少しくっ付き過ぎじゃないのかね、ちびたか」
「くろたかだってくろとにくっ付き過ぎだよ」
「私は当然だよ。玄冬は私のものだからね」
「うー……」
黒鷹が勝ち誇ったような口調でそう言って、俺を後ろからより強く抱きかかえると、俺が抱いてるちびたかも負けじと、俺に強くしがみ付いてくる。
かろうじて、俺の横に身体を沿わせてるちびくろはしがみ付きこそしないが、三人分の体温がそれぞれ触れてる方から伝わる。
はっきりいって、夏場の今は相当暑い。
が、ここで離れろと言ったら、聞き分けのいいちびくろはともかく、他の二人は揃って拗ねて後が大変だろう。
――何だい、酷いじゃないか! 君は私のことを愛してないのかね!?
――酷いよ! くろとと一緒にいたいだけなのに、くろとは俺にくっつかれるのが嫌なんだ!
笑えるほど容易に想像がつく。
黒鷹は夜の報復が恐ろしいし、ちびたかは三日は拗ねて、機嫌を損ねっぱなしになるだろう。
きっと贅沢な悩みになってしまうのだろうが、こういうのはコミュニケーション過剰っていうんだろうな、と、内心溜息をつきたくなった。
2005/05/03 up
元は一日一黒玄でやっていたものから。
創作者さんに50未満のお題で配布されている「甘々10のお題」からNo4。
Tさまに描いていただいたスケブ絵が元ネタです。
- 2013/09/14 (土) 11:26
- 年齢制限無