作品
ホットミルク
ちびたちが寝入った後、黒鷹と二人、居間で他愛もない話をしながら、お茶を飲んでいるとぱたぱたと小さい足音。
間もなく、顔を覗かせたのはちびたかだった。
「おや、君か。眠れないのかい?」
「ん……何か目が冴えて眠れない。二人とも何飲んでるの?」
「お茶だ」
「俺も飲みたい!」
「お前は眠れなくなるからダメだ。
喉が渇いたならミルクを温めてやるからそっちにしろ」
「同じものがいいのにー」
拗ねたように言いながらも、それ以上はごねることもせず、ちびたかが俺と黒鷹の座っている間に割り込んできた。
やれやれ。
ミルクを温めるために席を立つと、後ろからちびと黒鷹の会話が聞こえた。
「ねぇ、いつになったら俺もくろたかたちと同じもの飲めるのさ」
「君がもうちょっと大人になったら、ね」
ああ、いつか俺も黒鷹に言ったことがあったな。
同じことを。
そして、やっぱりあいつは同じ言葉を返して。
きっと黒鷹はあの時と同じように優しい顔をしてるんだろうな。
同じものを求めることが嬉しい反面、そんなに急いで大きくならなくていい、とそんな思いを込めた表情が目に浮かぶ。
懐かしさに温かい気分になりながら、ミルクを温めた。
久々に自分の分と黒鷹の分もいれてみようか。
ホットミルクを。
2005/04/21 up
創作者さんに50未満のお題で配布されている「甘々10のお題」からNo6。
この後ちびくろもなんとなくーで起きてしまい、結局みんなでミルクを飲みつつ、ちび二人は親の膝の上で寝てしまうというオチもありますが、機会があれば書きます。
- 2013/09/14 (土) 11:31
- 年齢制限無