作品
外で
「ああ、いいねぇ。温泉はいいなぁ」
「おい、あまりはしゃぐな。……ったく、どっちが子どもだか」
黒鷹が見つけてきた温泉は、ほどよい湯加減で確かに心地良いのだが。
さっきから、こいつが鳥の形態のままで、羽をばさばさと水面に叩きつけたりするものだから、どうにも落ち着かない。
いい加減、静かに楽しみたいというのが偽らざる本心なのだが。
しばらくは黙ってそのままにしていたが、ついに業を煮やして黒鷹の羽ごと抱え込んだ。
「いい加減にしろ、お前」
「おや。どうせなら、この体勢は人型の方がいいんだがね」
「あ? …………っ……わ!」
いきなり触れる感触が変わる。
気付いたら人型に戻った黒鷹が、俺の腕に抱えられている状態になっていた。
「うん、やっぱりこっちの方がいい」
「黒鷹。お前な……」
「ああ、でもちょっとだけ困ったかな」
「うん?」
「裸で触れ合ってると思うと抱きたくなる」
「え、ちょ…………ん…………!」
黒鷹がくるりと俺のほうを向いて、唇を重ねてくる。
割入った舌は湯の温度に負けず劣らずに熱い。
「ここでこのまましてもいいかも知れないね。
終わった後に湯で身体を流せもするし」
「……外だぞ、ここ」
「どうせ誰も来やしないよ」
「そういう……問題じゃ……っ」
言いながらも這わされる手に拒みきれない予感がした。
……誰も来ない、ならいいと、少しでも思ってしまった時点で負けたのは自分なのだから。
2005/09/? up
元は一日一黒玄で書いたもの。
China Love(閉鎖?)で配布されていた、
「微エロ妄想さんに25のお題」、No19より。
温泉になると、どうもアレな方向にばっかりしてますが、普通に温泉好きです、信じて下さい(笑)
- 2013/09/22 (日) 00:55
- 黒玄