作品
白昼堂々&蠱惑
白昼堂々[Kuroto's Side]
「まだ、真昼間だぞ」
「そうだね」
「……この後、果実酒用に木苺を摘みに行くつもりだったんだがな」
「終わった後に、私も付き合ってあげるよ」
本当に今でなきゃダメなのか、と喉元まで出掛かった言葉は飲み込んだ。
とうに反応を返してしまってる身体の状態で、何を言ったところで、説得力なんて伴うわけがない。
首筋に触れる柔らかい唇の感触と温かい吐息に息が上がる。
視界の端に映った窓からは眩い光が差し込んでいる。
そんな時間帯から、肌を合わせることに思うのは、後ろめたさと……それがもたらす興奮。
そう、まんざらではない、のだ。
誘ったのは黒鷹でも、それを受け入れてるのは確かに自分。
触れてくれる手が心地良いと思った時点で責められる訳もない。
取り込んだばかりで、日のぬくもりさえ残ってるようなシーツの波に溺れる瞬間を思って目を閉じた。
夜とは少し違う興奮に身を委ねながら。
蠱惑[Kurotaka's Side]
「まだ、真昼間だぞ」
呆れたような口調にも取れるかわりに、拒む意図も見られない。
「そうだね」
「……この後、果実酒用に木苺を摘みに行くつもりだったんだがな」
「終わった後に、私も付き合ってあげるよ」
行為の心地良い名残に負けて、そのまま眠りに落ちなければ、だけれども。
……しょうがないじゃないか、君が悪い。
乾いたばかりのシーツを取り込む瞬間に、あんな表情をするから。
幸せそうに、何かを噛み締めるように微笑むから。
それはまるで、肌を合わせた後の悦楽の欠片を味わっている時の表情のようで。
だから、触れたいと思ってしまったんじゃないか。
今だって、ほんの少し触れただけで興奮し始めたのが伝わる。
嫌だ、なんて言わせない。
明るい日の差し込む部屋で身体を晒すことに、抵抗だって既にそうは感じないことを知っているのだからね。
蠱惑されたのは、絡め取られたのは君じゃなくて私なんだよ。
ねぇ、愛しい子。
言葉で表さない分、行動や表情で私を誘っていることに、君はいつ気がつくんだね?
2005/09/? up
元は一日一黒玄で書いたもの。
China Love(閉鎖?)で配布されていた、
「微エロ妄想さんに25のお題」、No24&No25より。
- 2013/09/30 (月) 00:22
- 黒玄