作品
焦らし&5秒前
焦らし[Kuroto's Side]
さっきから、ただ唇を重ねるだけ。
他に何をするでもなく、黒鷹はそのまま黙っている。
「…………ん」
口付けは心地良いけど、落ち着かない。
どうして、このままでいるんだろう。
意図がわからない。
つい黙っていられず唇を離す。
「どういう」
「つもりだ。……だろう?」
「…………っ」
予想してた、といわんばかりの言葉が面白くない。
からかわれていたのが悔しくて、つい顔を背けたら頬にそのままキスされた。
「可愛いね。……そういう顔が見たかったんだよ」
「……馬鹿」
そういわれると、焦らされたことに対しての苛立ちよりも呆れというか、仕方ないというか……微笑ましくなってしまうから困る。
結局は黒鷹に敵わない、ということか。
5秒前[Kurotaka's Side]
あと何秒。
君は持ちこたえられるだろう。
ただ触れ合うだけの唇。
舌を使うわけでも、甘噛みするわけでもない。
ただ軽く重ねただけの状態で、君はどこまでその状態を保てるだろう。
「…………ん」
微かに零れた吐息。
視界の隅で所在なさげに動いた指。
……ぴくぴくと震える瞼。
大分気になってきたかな。
きっとあと5秒。
……ほら指が私の方に向かい。
4秒。ぎこちなく髪が揺れ。
3秒。軽く唇が開いて。
2秒。指は私の服を捉えて。
1秒。目を開いて、唇を離して。
「どういう」
「つもりだ。……だろう?」
「…………っ」
拗ねたように顔を背けた玄冬の頬にもう一度口付ける。
ああ、その顔が見たかった。
2005/09/? up
元は一日一黒玄で書いたもの。
China Love(閉鎖?)で配布されていた、
「微エロ妄想さんに25のお題」、No14(玄冬視点)&No12(黒鷹視点)より。
- 2013/10/07 (月) 22:14
- 黒玄