作品
崩れ去る日常
※第二部進んでないので、先行ネタバレになりますが、
それでも構わないと言う方だけお読み下さい。すみません。
「あーあ、最近、ずっと雪ばっかりー」
桜璃が窓の外を眺めて、不満そうに呟く。
「つまらないかい?」
「だって、お外で遊べない~」
「いいじゃないか。お家の中にはパパもママもいるんだから」
「でも~」
「本を読んでやろう。桜璃。何の話がいい?」
玄冬が桜璃を抱き上げて、笑う。
哀しいほどに優しく。
少し前までなら、哀しいと思わずにいられたのに。
ただ、穏やかに笑う君が愛しいとだけ思っていられたのに。
「私も一緒に読もう。
男性の登場人物の台詞は私が読んで、女性の登場人物の台詞は君が読む。
間の話は桜璃が読む。 そんなのはどうだい?」
「ああ。いいな、それ」
「えー!? 桜璃にはまだ難しくて読めないよー」
「大丈夫だ。ちゃんと教えてやるから」
ずっと3人でこうやって本を読んでいられたらよかったのに。
私も玄冬も知っている。
玄冬が生きてここに居る限りは、雪は無常にも、もう降り止むことはないのだということを。
贅沢な幸せの時間はもうすぐ……。
2005/08/09 up
Forbidden fruit~under ver.でやった
Kfir(閉鎖) が配布されていた
「ただひたすらに君を想う10題」、No9より。
- 2008/02/01 (金) 01:12
- 第二部:番外編
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