作品
取捨択一
※第三部進んでないので、先行ネタバレになりますが、
それでも構わないと言う方だけお読み下さい。すみません。
「ずっと、繰り返し玄冬が……ママが生まれてきて。
時が来て殺すことになるたびに後悔したよ」
「パパ」
「どうして、あの時も、失うことになるその時にでも、他の方法を告げてやれなかったのかとね。
後悔していたのに、また生まれてきてママに逢える喜びにパパは勝てなかったんだ。
……どうしても」
「……」
心の中で次こそは私を殺してくれるといい、と願いつつ。
だからといって、何かをしたわけじゃない。
狡いんだ、私は。
そうしてあの子に委ねることで、色んなことから目を逸らしていた。
「でも、初めて後悔せずに済むよ。
……君が生まれてきてくれたからね、桜璃」
「え……」
今なら思う。
桜璃は私たちを変えるために生まれてきてくれたのだと。
女の子で生まれ、二人目の記憶を思い出した玄冬。
やはり花白の記憶を持ち、初代救世主の家系から生まれた救世主。
数々の綻びは終止符を打つ為のもの。
もう躊躇わない。私は選べる。
桜璃を生かせる世界にすることを。
もう、この世界で玄冬に逢えなくても、きっと私の行く先にあの子は待っている。
2005/08/29 up
一日一黒玄でやった創作者さんに50未満のお題で配布されている
「溺愛10のお題」、No7でした。
シリーズラスト近く。ネタバレどころじゃないw
- 2008/03/01 (土) 01:04
- 第三部:番外編