作品
乙女の夢
※シリーズ完結後の番外編な話になる、ぶっ飛び具合にも程があるだろうというものなので、ネタバレを気にしない方だけどうぞ。
「ね、パパ」
「うん? 何だい、桜璃」
昔。まだパパもママもいた頃。
パパが絵本を読んでくれてるときに、そんなことを聞いてみた。
「サンタさんって本当にいるの? 桜璃のとこにくるかな?」
「そりゃあいるさ!
桜璃は良い子だからね。きっと真っ先に来てくれる」
そう言ってくれたものだから、クリスマスの夜は来てくれるのを待って、
ずっと起きていた。
空が少し白くなってもサンタクロースは来なくて、哀しくなった気分で何時の間にか眠ってしまったら、気付いた時には枕元にプレゼントの包みが既にあった。
結局、それはサンタクロースではなくパパとママだったというのを後で知って、
つい「サンタさんなんていないじゃない」とパパに言ったら苦笑いされてしまった。
『いるよ。……サンタクロースはね。
皆それぞれのサンタクロースがいるし、また皆がサンタクロースでもあるんだ』
当時はその言葉はよくわからなかった。
だけどね、パパ。
今ならわかるの。
サンタクロースが届けてくれるのはプレゼントじゃなくて、温かい心だっていうのを知っている。
だから、誰もが誰かのサンタクロースになれるのだということを。
もうパパでもママでもないサンタクロースがいる。
きっと今頃深い雪道を必死に歩いて来てるはず。
もう少ししたらここに着くだろうから、部屋を暖めて、少しいつもよりも豪華な料理も温めて待っていよう。
だって今日はクリスマス。
今頃、パパとママもきっと二人きりで楽しんでいる。
そうでしょう?
2005/10/10 up
一日一黒玄でやっていたものから。
花帰葬+Pで10のお題配布所(閉鎖)が配布されていた花帰葬+Pで10のお題よりNo5。
いくら番外編でもそこまで飛ぶのってどうなのとは思ったんですが、当時このお題だとネタが他に思いつかなかったのですorz
そして恐らく空の上では大人びいた桜璃に対して、鷹は寂しがり、それを宥める玄冬の図が展開されているものと思われw
- 2013/09/13 (金) 23:36
- 第三部:番外編
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